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フォレストジェイル探索日記
世界樹の王オーダイン


14:緑ノ牢獄を突き進め!・9

某月某日:アンシャル記す

 我々の探索は五階に及ぼうとしていた。
 ……正確に言うと『地下五階』なのだが、ここでは迷宮の階位を示すときに、『地下』を省く傾向があるのだよ。ゆえに、我々もそれに習うことにしている。
 しかし、その五階に降り立ったとき、不気味な音が我々の耳を捉えたのだ。

 一旦、駐屯地に戻った我々だが、そこで聞いたのは、五階に巨大蜂が確認された、という話であった。
 なるほど、聞いた羽音はそれか。
 我々同様に五階へ到着した他のギルドからの報告によるそうだが、そのギルド自体は蜂に急襲され、今は薬餌院のベッドの上だそうだ。
 普通の蜂同様、その針に毒性を持つということだな。それも、姿形を聞く限り、スズメバチに近いだろう。……厄介なことだ。
 駐屯所のフリーンから伝えられたオーダーは、その巨大な毒蜂の群による群生生物障害を排除し、調査ルートの安全を確保すること……つまりは、蜂を倒せ、ということだ。
 倒すのはよいのだが……どうやら最奥に女王蜂の存在が懸念されているらしい。厄介なことだ。普通の蜂はさほどの懸念にならんとしても、女王蜂の周辺にたむろしている蜂どもは、女王を護るために凶暴になっているだろう。
 なんであれ、打ち倒さなければ、先へ進むことはできない。
 私の捜し人は、まだ見つからない。ついこの間、消息を絶った、別のギルドもだ。五階を探索する中で見つかればいいのだが、そう簡単にはいくまい。それに、運良く五階で見つかったとしても、『王国』から世界樹の調査を依頼された身だ、やはり先には進まなくてはならない。
 我々は、ミッションを受諾して、五階に潜った。
 かなり歩くかと思っていたのだが、女王蜂の潜むらしい最奥は、意外に階段から近いところにあったのだ。
 そうして、敵と相対した我々は、問題の蜂の異形に、呆然とすることになる。

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